人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アームヘッド・ストーリー第3話:職場

俺は今、イラチのあるマンションに居た。
近くに本屋があり、そこで新しい推理物を買い、ベッドで寝転がって読んでいる。
また雷が鳴った。昨日から雨が続いている、窓を閉めたほうがよさそうだ。



今日から一週間前、俺はラスクに連れられ、新しい『職場』へと向かっていた。

「どういうところなんだ?そのアニューンパークって?」

「まあ、小さな町みたいなところだな。病院もあるし、スーパーにデパート、ペットショップもある。まあ、遊戯施設みたいなところだな」

俺は怪訝な顔をした。

「何処から集まってくるんだ?人は?」

バックミラーを見ながらラスクは言う。

「色んな所だ、アイサ連邦から来る人もいる」

「へえ」

そう返して、外を見ると木がたくさんある。

「どこにあるんだ?そのアニューンパークは?」

「下」

沈黙。

「御免、もう一回」

「だから地下にあるんだよ、アニューンパークは」

「そうか…」

俺は考えていた。そんな費用、一体何処から出たんだろう?このラスクという男は何者だ?
リズ連邦軍特別研究所副所長なんて名刺には書いてあったが、本当は何者だ?

「着いたぞ」

そんな事を考えていると、ラスクが言った。
着いたのは、古い3階建てのビルだった。

「ここか?」

信じられないように俺は尋ねる。

「そうだ、ここから地下に繋がる道がある」

そう言って、建物に向かって歩いていくラスクを慌てて追った。

建物の中は、外には比べ物にならないくらい綺麗だった。ふうむ。よほど掃除係が潔癖症らしいな?

「入るぞ」

そう言って、手を機械にかざした。すると、目の前の鉄の扉がすーっと、開く。
中に入ると、螺旋階段上になっていた。

「じゃあ、行くか」

そう言うと、壁のボタンを押した。
そして、階段はエスカレーターのように下がる。

しばらくして、結構距離があることに俺は気付いた。

「もう少しスピードでないか?」

「じゃあ、スピードを強にするぞ、しっかり捕まれよ」

そう言って、手すりを寄りかかるように掴んだ。
なんだ?と思ったが、その行動を理解するのに、時間はかからなかった。

「うわあああああああ!!!」

そんな絶叫をあげながら、俺は思った。こんなんで大丈夫かな……

「着いたぞ、彰」

そう言って、平然に階段を下りるラスク。拍手でもしたいな。だが俺はそんな気分になれなかった俺にその時必要なのは、ベッドと紙袋だった――

そしてその時に俺は誓った、もう、このエスカレーター(階段?)には乗らないと―――








「ここに、君の仕事仲間がいるぞ、さあ、準備はいいか?」

俺は答える気にもならず、首を縦に振った。

「これが君の新しい職場だ―」

そこに居た人は俺とラスクを合わせて5人、そしてこの時、俺たちは知るよしも無かった、これからの悲劇を―――

by y28uta | 2008-08-31 01:25 | story-アームヘッド-  

<< もう九月か… 久々にね… >>